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2021年9月

2021年9月21日 (火)

リモート天文台のファーストライト

8月末に急遽運用を開始したリモート天文台。。

前回の記事にあるように、まずは必要と思われるものを持ち込んで撮影ができる状態に。。

8月末、9月初めになんとか晴れた日があったので撮影をしました。
一度設置をしてしまえば、晴れていてさえすれば薄明と同時に撮影ができるのがいいところですね。。

ということで、リモートワークからのリモート撮影という感じで3夜にわたって、NGC7000を撮影しました。


【NGC7000 北アメリカ星雲】

Ngc7000-fsqxrd-asi294-blog

この時期だとある意味好条件で撮影ができますね。フォトコンテストの場合は早撮りをされる方も多い(私も含めて)のですが、

8月9月は天頂付近を通るため、撮影に向いていますね。

Niftyの画像ファイルは3MBが制限なので、もともと(17MBのJpeg)をかなり圧縮しました。


さて、この対象を撮るのは久しぶりでした。

普通にデジカメでも、カラーCMOSでもよく写る対象ですが、Cygnus Wallや散光星雲のうねりを表現したくHaも含めて撮影をしています。

ちょっとモリモリで処理してみました。


【撮影データ】

Title:NGC7000
Optics:Takahashi FSQ-85ED x QE0.73(f=328mm/F=3.8)
Camera:ASI294 Pro 1x1 bin /Gain200/ -10d
Mount:Vixen AXJ
AutoGuide:miniBorg50ED・ASIAIR Pro
Filter:Astrodon i/narrow
Exposure:L 240sec x 21 R x 15 , G x 11 ,B x 10 ,Ha 240sec x 21
Total Exposure: 312min
Date:2021/8/31,9/6,9/9 @UDA

@@@@
Exposure:L 240sec x 10 R x 4 , G x 4 ,B x 6
Date:2021/8/31 22:35~@UDA
Exposure:L 240sec x 3 R x 3 , G x 4 ,B x 4 ,Ha 240sec x 3
Date:2021/9/6 19:29~@UDA
Exposure:L 240sec x 8 R x 8 , G x 3
Date:2021/9/9 20:58

 

気づけは5時間超の露光となりました。

実はリモート撮影で最もむつかしいと感じたのがピント合わせです。

普段はオートフォーカス(EAF/ASIAIR Pro)とバーチノフマスクをつかって合わせますが、今回はどちらも使えないということもあり

かなりピントが合っているのかどうかに戸惑いました。

N.I.N.Aにもオートフォーカス機能がついてますが、時間もかかるのと、なんかとんでもないところでOKとか表示されるのであまり信用していないです。

そして、FSQという屈折タイプで運用していることもあり、温度変化も大きく難易度が上がっているように思います。

(ε130なら、スパイダーでピントがわかるので)

初日に撮影したものはピントが途中までずれていたので今回は星は大きめの処理となりました。(汗)

ということで記念となる1枚となりました。

 

今のところのリモート撮影の課題は以下の通りです。。

 

1.ピント合わせ。屈折の場合はなかなか正解がわからない。
  現状では、オートフォーカスか、N.I.N.AのImage(撮像)タブにある

  Toggle automatic star ditection and analysis (Half Flux Radius) On/Off

  自動星検知、分析(HFR)トグルスイッチ

  を使って、星の大きさを見ながらフォーカスポイントを調整していきます。
  ここの動画にあるように、うまくフォーカスを調整できればいいのですが・・
  何度やってもきれいな放物線は描かず、デコボコな数値となりエラーメッセージが出てしまいます。
    (ZWOのEAFをASI AIR PROで使う場合は、うまく放物線を描いてくれます。何が違うのかな?)


2.子午線通過設定からの、自動フリップ、自動導入、シーケンス継続

  今回は赤道儀Starbook10をASCOMで制御しています。Starbook側にも子午線通過の設定やScope(West or East)の設定がありますが、この制御と、N.I.N.A側の設定がうまく整合が取れてなくて、どうしても子午線越えの自動設定ができていないです。
 これができたら、睡眠撮影も夢ではないですね。。
 N.I.N.Aの設定には、シーケンス終了後には、自動でパークに戻して、自動でカメラの冷却を戻して、自動でふたをする(Close cover when sequence ends)という設定もあり、ふたの制御はともかく、パークや冷却オフなどとても便利な機能ですね。


3.現地で何が起きているか。。よくわからないことも。

  タカSiさんが使われていたIRカメラと、IRライトをそのまま譲り受けることができたので、現地の望遠鏡の向きなどをリモートで見ることができます。ずっとライトをつけるのではなく、Switch Botで光源のオン、オフもできるのでいま望遠鏡がどこを向いているのかがよくわかります。ほかにもいろいろとリモートではできないことがあるので、この辺りは決定的に遠征とは違いますね。

 

ということで、ぼちぼち リモート撮影を開始した続報を投稿します。

なんだかんだでトラブルも多く、現地に何度か立ち寄りながら修正中です。。

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2021年9月12日 (日)

リモート撮影 始めました!

8月半ばからの長雨。そして9月の新月期も週末は晴れない日々が続いております。

ブログを更新するたびに、晴れない嘆きを書いていたから!?か。。

ヒョンなご縁で、すでに運用をされているリモート天文台に参加させていただけることになりました!


【リモート天文台のお誘い】

アマチュア天文写真家の中でも、赤い彗星のごとく現れて、素晴らしい作品を次々を発表されているタカsiさんが運用されていたU.D.Aリモート天文台について、KIRIさんからのお声かけもあって後釜に座ることとなりました。

ご本人のBlogでも書かれていますが、別途運用されている南紀の天文台に集約されることを検討されていて、リモート天文台を使ってみたいという私の思いもあっての利用者チェンジです。

最初お話を聞いたときは、すでにリモート天文台として運用をされているところに新たに引越しをする?イメージでしたので、設備についてはまったく心配なかったのですが、いやいや、リモート撮影とか。。現地に行ってもトラブル多発なのに無理!!って感じで迷っておりました。
KIRIさんの心強いお言葉、全面的なサポートの約束を取り付けて、希望をお伝えしました。

ご一緒させていただくリモート天文台の方は、CANPや星もとなどでお目にかかったことがある方々だったのでお話がしやすかったです。
途中からの参加にもかかわらず、温かく受け入れていただき本当に感謝しております。

 

【事前準備編】

お声掛けいただけたのが8月の下旬です。
最近は現地でASI AIRで撮影することが多く、リモート環境のPCや天文ソフトから準備が必要です。
そしてあまり使ったことがなかったオートフォーカスや赤道儀のパーク方法など・・それにしてもわからないことだらけで、撮影ができるようになるまで半年くらいかかりそう。。(リモート天文台としての設備はすでに整っているにもかかわらずです)
と心配をしていましたが、1週間で一通りの機材をそろえて、まずはお家でくみ上げてプチリモート開始です。

事前にPCには以下のソフトをインストール
・ASI カメラ、EAF、フィルター ドライバ
・ASCOM 6.5本体、ドライバ
・PHD2(ガイド用)
N.I.N.A(オールインワンの天体撮影ソフト<フリー>)
Sky Atlas Image Repository(天体データ 1GBとかなり詳細 NINAページよりDownLoad可)
Cartes en Ciel(プラネタリウムソフト 星図から対象を見つけるため)
ASTAP(プレートソルブ用ソフト)
・APT(カメラ制御、撮影、FW、フォーカサーなどバックアップ用に・・)
・リモートアクセス用ソフト

※これらのソフトを使ってのリモート撮影については、別の機会にBlogで紹介をしようと思います。


ベランダでリモート撮影の練習開始です。M33の導入や撮影、ピント合わせなどを一通りやってみます。
数時間かけて、何とかできるところまでたどり着くことができました。(KIRIさんマンツーマン指導の下。)

Img_4709


【初めての現地、設営作業】

8月末の週末、なんとか星が見えそうな予報。準備不足はいがめませんがせっかくなので現地に行くことになりました。
この日はこれまで使われていたタカSiさんが機材を引き上げにいらっしゃるということで時間を合わせて現地へ。

同じ天文台を運営されている皆様もこの日は勢ぞろいされていて、ご挨拶をさせていただきました。
天文台の設備やルーフの開け閉め、リモートカメラへの接続方法などをご教示いただきました。
みなさん様々な工夫をされた機器を設置されていて、早速いろいろと教えていただき本当に感謝感謝です。

現地で電源につなぎ、無線LANを設定。Swich BotのハブminiとSmart温度計、リモート天文台に設置してあるエアコンのリモートSwitch、赤道儀や望遠鏡の状況を見るためのIR電源のためのスイッチ(IR電源やカメラはタカSiさん設置のものをそのままおいていただけたので)などを持参し現地でセットアップします。

現時点でEAF(オートフォーカサー)がついているのはFSQ-85のみ。今回はASI 294MMProを撮影用カメラとし、ガイド鏡にはminiBorg45ED、ASI 120miniをつなぎます。
まずはSXD2をセッティングし、FSQとガイドカメラ、曇り止め用のヒーターを巻きます。ケーブルが絡まないように赤道儀をいろんな角度に動かしながら試していきます。

中古で購入したPCを赤道儀の下に設置。リモートでコンセントをOn Offするスマート電源タップをセット。
ZWOのカメラ(撮影用、ガイド用)や赤道儀(LAN→USBに変換)など、認識しなくなったときにUSBを抜き差ししてくるReTryHubもセット完了。何とか準備を整えて電源を入れてみます。

 


【SXD2が動かない!】

ようやくセットアップしたところで赤道儀のスイッチをOn!というところでトラブル発生。。
なんと前日まで動いていたSXD2が突然電源が入らなくなりました。赤道儀とSB10をつなぐコントローラケーブルの接触不良か!?
差し込み口をぐっと抑えると一瞬SB10が点灯するもそのまま動かすと電源断・・・
このタイミングで故障するとは、あまりにも辛い。でもリモートで動かなくなるのはもっと辛い。。
ということで急遽車に積んでいたAXJに赤道儀入れ替えです。
三脚からの入れ替えで大変でしたが、AXJをセットアップして再度FSQを搭載します。


Img_4724

※線が整理できていないのはちょっと恥ずかしいですね。このあと束ねて少しはましになってますがあまりすっきりしていないです。


【初めてのドリフトアライメントによる極軸合わせ】

様々な手戻りもある中でようやくセットアップも完了。
そろそろ極軸合わせや導入のテストをやってみたいなぁと空を眺めるも雲が多く、ところどころに明るい星が一種運見えるくらいでした。
しばし待つと時折雲が切れて星が見えてきます。
おおよそ北を向けて、明るい星を導入、プレートソルブをやってみます。

なんとか星を捉えることができました。さて問題はこの場所から北極星が見えないことです。
Vixenの赤道儀(SXD2、AXJ)には上級者向けとして紹介されていますが、もうカメラもついていて接眼レンズもなく、現地で読みながら合わせるのもなぁということで、皆さんがいいとおっしゃる「PHD2」のドリフトアライメントに挑戦しました。

これまたPHD2ではなく、別の赤道儀とコントローラを使って解説していた「北極星の見えない場所での極軸合わせ」という動画を見ながら、手順、理屈を理解してから、PHD2の「ドリフトアライメント」機能の画面の案内に沿いながらなんとか調整をすることができました。
(PHD2はなぜか手順が英語で書かれているので取っつきにくかったですが、一度やってしまえばとても使い勝手のいい機能だと思いました。)

結構な時間をかけてようやく極軸あわせが完了。N.I.N.AとASTAPによるプレートソルブもうまくできるようなので、これでリモート運用開始のめどが立ちました!


【リモート撮影 開始!】


さて、ぼちぼちリモート撮影を開始です。
8月最終週からは、こんな感じで晴れたらリモート撮影をしております。

Img_4726

これからが楽しみです。


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