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2020年7月

2020年7月 4日 (土)

コロナ禍での画像処理勉強会とPixinsight

ほとんど四半期に1回更新Blogになりました、天女の天体観測記です。

4月から5月中旬の緊急事態宣言解除までは、遠征ができない状況でしたのでいつもの
がま口壊れ隊?メンバーで、GWにZoomによる画像処理勉強会を実施しました。

画像処理勉強会は、各メンバーが素材をもって自分の画像処理を思いのままやってみるという
感じの進め方でした。
私は長らく棚上げしていたPixinsightでの銀河の処理をやってみたく、フルフルさんにデジカメでの
一連の処理をご教示いただきました。

Pixinsightはいろんなところで手順が紹介されていますが、画面を見ながら一連の手順を紹介してもらうことで
流れが理解できました。

あとPixinsightをずっと使っていらっしゃるKIRIさんにも個別にZoomで教えていただきました。
ASI183MMProをお勧めいただいた師匠でもあるKIRIさんには、

①ScriptであるBatch PreProcessingを使っての下準備
 ここではBIAS、Dark、Dark for flat、flat(LRGB)、LightFrame(LRGB)を一度にいれると
 コンポジットされたL、R、G、Bが作成され、とにかく手間だった前準備が全自動でできることに驚きました。

②Chanel CombinationとHistgram TransFormation
 RGBのチャネルを合成し、ヒストグラムの山を合わせていく処理です。

③ArcsinhStretch
 RGB合成後のファイルをレベル補正の処理?に近いと思います。暗いところを持ち上げつつ、ハイライトをサチらないように注意して。。

④Automatic Backgroud Extractor
 いわゆる被り補正です。Dynamic Backgroud Extractorというプロセスもありますが、KIRIさん流は
 一次関数での傾斜被り取りです。

⑤LRGB Combination
 補正済みのRGBとLを合成します。
 Lについてもレベル補正や被り取りが必要かもしれませんが、いったん合成しました。

という手順で教えていただきました。
これまではCCDやCMOSで撮影したRGB合成がなかなか色が出にくかったのですが、Pixinsightは何もしなくても
自然な?色がこんなシンプルな手順で表現できました。

いやぁ。。いろんな方が、Pixinsightは星の色は(何もしなくても)バランスよく出るよ。。とおっしゃっていたことが
よくわかりました。
特に銀河の中の色は、ほかのソフトでやったものに比べて、私が理想だと思っていたものに仕上げることができました。


【NGC4490】

N4490-pi-triming_20200704230401

これはデジカメで撮影をしたりょうけん座にある「まゆ銀河」です。
NGC4490のすぐ北側には、伴銀河(NGC4485)があって、相互作用で引き延ばされているそうです。
今年の3月に大芦で、去年の4月に吉野で撮影したものをコンポジットしています。
合計で5分x64枚の5時間越え超大作です(笑)



【画像処理比較】

      3月処理           5月処理

 Ngc4490-comp

以前処理したものを比べると、銀河の色も違いますし、5月処理のほうが詳細な模様が
見えているようです。
銀河の詳細な模様を復元するために、Topaz Denoise AIでノイズをとり、
そのあとDeconvolution処理をしています。
同じ画像データを使っているのに、処理ソフトによっても随分と変わるなと実感しました。

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撮影データ

Title:NGC4490
Optics:GSO8RC x 2inch flatter(f=1600mm/F=8)
Camera:Canon 6D SEO-SP4 triming
Mount:Vixen AXJ miniBorg50 QHY5ii-L
Exposure:ISO4000 300sec x 33
Date:2020/3/20 @Oashi

Title:NGC4490
Optics:GSO8RC x 2inch flatter(f=1600mm/F=8)
Camera:Canon 6D SEO-SP4 triming
Mount:Vixen AXJ miniBorg50 QHY5ii-L
Exposure:ISO5000 300sec x 31
Date:2019/4/12 @Yoshino

 

 

【NGC3344】

N3344-pi-triming-new

こちらは、こじし座にあるフェイスオン銀河です。
視直径が6.7 x 6.4 arcmin と小さいですが、美しい銀河ですね。
銀河のバルジは黄色、腕の部分が青色、Ha領域が赤いプチプチと理想的な?色に
仕上がってくれました。
去年の2月と今年の3月に大芦で撮影しました。


【画像処理比較】

 

      3月処理           5月処理

Ngc3344-comp

こちらも、NGC4490と同様に、色合いが違いますね。
あとちょっと3月分は荒れ気味ですが、5月分はノイズが少なく、でも構造がきっちりと見えています。

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撮影データ

Title:NGC3344
Optics:GSO8RC x 2inch flatter(f=1600mm/F=8)
Camera:Canon6D HKIR
Exposure:ISO4000 360sec x 36
Mount:Vixen AXJ
Date:2020/3/20@Oashi

Title:NGC3344
Optics:GSO8RC x 2inch flatter(f=1600mm/F=8)
Camera:Canon6D HKIR
Exposure:ISO4000 180sec x5 , 360sec x20
Mount:Vixen AXJ
Date:2019/2/3@Oashi



【祝 星ナビ2020年 8月号入選】

ということで、過去に応募するも落選した2つの対象を再処理して星ナビに応募したところ、
NGC4490を掲載してもらえました。Zoom画像処理勉強会というのが話題性があった
おかげかなと思います。

Img_0951

お隣にあるM101銀河は、天文中年さんの作品です。
このZoom画像処理勉強会でご一緒してその後再処理、応募されて入選されました。
この画像ではわかりにくいですが、銀河の構造がよく見える素晴らしい作品です。

ご指導いただいた、KIRIさん、フルフルさん、参加したがま口隊のみなさま、
ありがとうございました。

 

 

 

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おまけ。。

ココログの編集画面ですが、記事を書くところの下に、画像をアップする領域があって、D&Dしてアップする仕様ですが、
点線で囲まれた場所にD&Dしても、どうやらその場所がアクティブ(エリアが下に広がる)にならないと、
編集した記事がすべて消える仕様です。
(そのまま画像がブラウザ上に表示されるため、保存をしていないと消える)

これで何回も記事を消すようなミスをしでかしてますが・・・
以前はそんなことはなかったので本当に使いにくいですね。
無料ですから、仕方ないのかもしれませんが、ココログの記事更新が疎かになっている大きな理由の一つです。
(何度かアップしようとして消えたので断念してます)

そしてその後記事を更新しながら、こまめに保存をしていたら、公開されていたみたいです。
デフォルトは下書き保存にしてほしいですね。

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