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2018年5月 3日 (木)

春のDSO祭り(前編) & 祝☆ 星ナビ6月号入選!

またまた・・1か月を超える未更新状態が続いてしまいました。
撮影はもう少し頻繁に行っているのですが、Blog更新が後回しになりがちです(汗)

ということで、今年の春物は銀河を中心にDSOをいろいろと撮影しました。

1月~3月に撮影した対象は以下の通りです。。もっとまめに更新したらよかったです。

【撮影したDSO】

NGC2903
M100
M95
M96
---ここまでアップ済み

M78(ガイドブレブレ、作品微妙でボツ)

---ここから
M1
M67
NGC5981,5982,5985 (りゅう座のTriplet)
M104
NGC3718,3729 /Hickson 56
M94
M81
M51
---ここまで
M90
M5
NGC4565
M63
M3
M16
NGC4038,4039

それぞれ1~2時間露光のものとなります。
メシエ天体を追加で撮影したいという思いもあり、15対象(全体で20対象)を撮影しました。
2台体制での撮影ということもあって、一晩に2~5対象を撮影しました。
まあ欲張りすぎですね。もっと長い時間かけてとらないといい作品ができないのですが。。

ところで、今年のDSOのテーマは、「ガイドの安定」でした。

その目的もあって、AXJを導入したわけですが結果として思うような成果を得れないケースも。。
原因は赤道儀本体の能力というより、ガイドシステムの問題が大きかったようです。

つまりは、
・親子亀、コバンザメ(赤道儀の上や下にガイド鏡を同架)する方法ではガイドがずれることが判明。
・その原因として、ガイド鏡筒、カメラの接続が緩みやガタがもあり、安定しなかった。
・それでも、精度が高いのはOffAxisやAOを使った場合。

という状況にありました。
AXJという赤道儀は、私自身の使い方の問題がありなかなか思うような成果が得られていないのですが、
実感として多少の風はもろともしないこともわかり、高いポテンシャルを感じております。

それでは長くなるのでまずは前編を・・・

☆☆天候がなかなかすぐれない予報の中、ダメもとで2回、神野山に撮影に行きました☆☆

【M1/crab nebula】

M1_2x_drizzle_2

冬?のDSOとして定番の対象です。
デジカメだとこんな感じが限界?でしょうか。。
過去の映像を見てみると、2014年12月に撮影したものがとてもシーイングよく写っていました。
この対象は撮影条件でかなり写りがかわるようです。

--
Title:M1
Optics:GSO8RC x 2inch flatner (f=1600mm/F=8)
Camera:Canon6D SEO-SP4
Exposure:ISO4000 180sec x 35
Mount:takahashi Vixen AXJ
AutoGuide:Borg FL71,Watec910HX,Advanced Unit(SB10)
Process:DSS 2xdrizzle
Date:2018/2/11 @Konoyama



【M67/open cluster 】

M67_2

かに座にある2つめ?の散開星団です。M44が有名ですが1600mmで狙うとちょうどいいサイズで収まります。
以前メシエ天体撮影マラソンをやっていたときは、FSQで写しましたので、長焦点は初めての撮影です。
散開星団はなかなか写真ではその美しさを表現できないですが、スパイダーがあると
多少のアクセントにはなりますね。

--
Title:M67
Optics:GSO8RC x 2inch flatner (f=1600mm/F=8)
Camera:Canon6D SEO-SP4
Exposure:ISO4000 180sec x 10
Mount:takahashi Vixen AXJ
AutoGuide:Borg FL71,Watec910HX,Advanced Unit(SB10)
Date:2018/2/11 @Konoyama



【NGC5981 5982 5985 / Draco triplet】

Draco_triplet

かつて、すさみでドブソニアンで見たりゅう座のTripletです。撮影するのは初めてで、
今春撮りたかった対象の一つです。
眼視でも3つの特徴的な形を確認する事ができます。
神野山での撮影のため、星の数が少ない&淡いところはなかなか描写がむつかしかったですが、雰囲気は伝わるでしょうか?
よく目を凝らしてみると小さな銀河がたくさん写ってますね。
Tripletと呼ばれてますが、細長い銀河(NGC5981)のちょっと先に4つ目の銀河(NGC5976)が見えています。
1億光年先にあるようで、その姿をとらえることができるのが不思議です。

--
Title:NGC5981 5982 5985 / Draco triplet
Optics:GSO8RC x 2inch flatner (f=1600mm/F=8)
Camera:Canon6D HKIR& SEO-SP4
Exposure:ISO4000 360 sec x 20 300sec x 2 240sec x 4 (Total:146 min)
Mount:Vixen AXJ
Process:DSS 2xdrizzle
Date:2018/2/11,16 @Konoyama



【M104 / Sombrero nebula】

M104

春の定番銀河です。ディスク面の模様とかをいつかは写してみたいのですが。。
20cmでは無理でしょうか。

--
Title:M104
Optics:GSO8RC x 2inch flatner (f=1600mm/F=8)
Camera:Canon6D SEO-SP4
Exposure:ISO4000 240sec x 16
Mount:takahashi Vixen AXJ
Process:DSS 2xdrizzle
Date:2018/2/16 @Konoyama




☆☆ここからは、長焦点をとるにはとても最適な場所、大芦で撮影した銀河です☆☆

【NGC3718,3729 /Hickson 56】

Ngc3718_x21

この銀河も今春撮影したかった対象です。北斗七星の柄杓のお椀の下の方にある銀河です。
右側のNGC3718の特徴的な形が印象的です。分類はSpiral galaxyらしいですが、渦巻きというよりはネジってネジって、伸びて伸びて・・という感じですね。
(twisted and extended galaxy by NASA)
お隣のNGC3729の銀河は15万光年離れているそうですが、このねじれ銀河はお隣の銀河の重力が影響しているようです。
それぞれは、地球から5200万光年先。りゅう座のTripletよりは近いですね。。

そして、NGC3718の南側に見えている銀河群が有名なHickson56(HCG56)です。
56-aからeまで5つのコンパクト銀河群ですが、ちゃんと見つけられました。

Hcg56_2

これらはなんと4億光年先にあるそうです。 この1枚の写真を見ているだけで
宇宙の壮大さをたっぷり感じることができます。
ガイドがうまく決まらず、ぼやっとした印象になってしまったのが残念です。

--
Title:NGC3718, 3729 /Hickson 56
Optics:GSO8RC x 2inch flatner (f=1600mm/F=8)
Camera:Canon6D SEO-SP4
Exposure:ISO4000 360sec x 22
Mount:Vixen AXJ
AutoGuide:Borg FL71,Watec910HX,Advanced Unit(SB10)
Process:DSS 2xdrizzle
Date:2018/3/10 @Ohashi


【M94/spiral galaxy

M94_360sec_x15

りょうけん座にあるメシエ天体5つのうちの1つ。形に特徴がある銀河です。
中心部はかなり明るくて普通にとると飽和してしまいます。
一方周りに部分に淡いところはなかなか写ってくれません。

以前撮影したものは、内側の部分の模様が全く見えない作品でした → M94

今回は、銀河の模様も見えています。
外側の淡いリングも一様ではなくて、腕のような模様も目を凝らすと見えてきます。

--
Title:M94
Optics:GSO8RC x 2inch flatner (f=1600mm/F=8)
Camera:Canon6D SEO-SP4
Exposure:ISO4000 360sec x 15,120sec x8 ,60sec x6
Mount:Vixen AXJ
AutoGuide:Borg FL71,Watec910HX,Advanced Unit(SB10)
Process:DSS 2xdrizzle
Date:2018/3/10 @Ohashi

---------

この2つの作品は、AXJ&GSO8RCで狙ったメインの対象でした。
精度を上げるためにガイド鏡をBorg71FLに変えてのトライでしたが、
どんどんと星が流れていく状況で原因がわからずアタフタしてました。

そんな中、せっかくの遠征なので長焦点の機材としてはお蔵入り?していた
EdgeHD800を1年ぶりに持ち出し、SXD2に搭載し、これまた久しぶりのAO装置を
つかっての撮影も同時並行で行いました。
課題だった?ガイド星探しも何とかうまくでき、オーソドックスな対象を狙いました。


【M81/Bode's galaxy】

M81_20180310_oashi

年明けの早いタイミングから狙える対象ではありますが、3月だと21時には高度が
50度を超えるので最初に狙いました。
EdgeHD800はもともと、APS-Cサイズの想定 かつ AO装置もついているため、
周辺はゴースト発生かつ減光している状態ですが、DSSで2xDrizzleする前提で撮影しました。

もう一台(AXJ&GSO)に苦しんでいる隙に? 着々とライトフレームを重ねていきましたが、
jpg画像を見てびっくり! ガイドエラーもなく、星がちっちゃい!!
解像度の基準にしている右下の二重性がきっちりと分解できています。
風がないこともありますが、SXD2でこんなにガイドが決まるのは初めて見ました。

--
Title:M81
Optics:Edge HD 800 (f=2000mm/F=10)
Camera:Canon 6D SEO-SP4 triming
Guide:SX-AO OffAxis Guider / UltraStar/PHD2 guiding
Mount:Vixen SXD2
Exposure:ISO4000 420sec x 16 , 180sec x 4
Process:DSS 2xdrizzle
Date:2018/3/10 @Ohashi

【M51/Wheelpool Galaxy】

M51_20180310_oashi_420sec_x_20_120s

であれば、欲張ってもう一対象!
ということで、りょうけん座の大好きな子持ち銀河を狙いました。
過去何度となく撮影してきましたが、ライトフレームを見て感激!?
銀河の模様がはっきりと見えてます。
この日は早めに帰る必要もあり、薄明まで2時間の時間を残して撤収しました。
(今から思えば少しもったいなかったです)

--
Title:M51
Optics:Edge HD 800 (f=2000mm/F=10)
Camera:Canon 6D SEO-SP4 triming
Guide:SX-AO OffAxis Guider / UltraStar/PHD2 guiding
Mount:Vixen SXD2
Exposure:ISO4000 420sec x 20 , 120sec x 8
Date:2018/3/10 @Ohashi


【祝 星ナビ6月号入選 !】

前置きが長くなりましたが、このシーイング奇跡の日にAO装置をつけて撮影した
M81が星ナビ6月号に掲載いただけました。
個人的にはM51の方が本命でした。両対象ともあまり手の込んだ画像処理をやっていなかったので、M81とかは地味目?かなぁと思っていましたが、解像度とかを評価いただけたのかなぁと思っております。

こんな雰囲気です → Img2983

長焦点は惑星と同様に、その日の空の状態が影響する対象ですね。
誤魔化しは効かないというか、誤魔化せないというか。。

ということで、ここまでお読みいただきありがとうございます。長文失礼いたしました。

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コメント

入選おめでとうございます。
良好なシーイングだったとはいえ、とてもカリっとした画像ですね!
SXJAOガイドもまた、うれしく思います。
なにしろこれ使っている人、いまだに他に見かけないので。。。
ちなみに私はまだまだ道半ばで、AO運用に四苦八苦しております。梅雨入り前にと思ってましたが、まだまだかかりそうです。今度ぜひ、AOとPHD2の設定解説などをやって下さい。待ってる人多いと思いますよ。

投稿: たじ | 2018年5月 6日 (日) 09時11分

たじさん

コメントありがとうございます。
確かにAOを使っていらっしゃる方は少数派ですね。
ただ、たじさんのBlog解説を拝見していると私よりも詳しく設定を触られていて、とてもご説明できる立場にはございません。。
基本的にはほぼデフォルトで運用しておりますので。(逆に勉強させていただいております)
ただ赤道儀が反転するときは、ガイドがとんでもないことになるので再度キャリブレーションをしておりました。(経験上です)

毎年開催されている、CANPが今年は6月末に西はりまで開催されますが、そこで私のAOの先生が、AO装置の効用とか実践的なお話をされると聞きましたので、そこで勉強しようかと思っております。

投稿: くろ | 2018年5月 8日 (火) 22時58分

こんばんは。
今年のCANPは関西方面なんですね。ぜひ、実践AOの知識をブログでお願いします!楽しみに待ってます。

投稿: たじ | 2018年5月10日 (木) 00時51分

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