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2016年5月

2016年5月22日 (日)

春の惑星祭り? (Planet festival?)

ゴールデンウイークに撮影した対象の処理がまだ終わっていない中ですが・・(汗)

来週末に最接近を迎える火星をはじめ、シーイングが落ち着いた満月の夜に3惑星の撮影をしました。
撮影場所は関西でも有数の光害地ながら、抜群のシーイング?を誇る天文中年さんのおうちの近く(汗)です。
視野の広い場所に、天文中年さん、Markunさんと共に、鏡筒を並べます。

昨年末にがま口を壊して入手した(届いたのは2か月後でしたが)ASI224MC Cooledを使います。

ちなみに、2000mmのEdgeHD800に、TereVeuの2.5xバローレンズをつけて、ASI224MCを繋いで、640x480のフレームで撮影するとちょうどいい感じの大きさで写ってくれます。

【木星/Jupiter】

Jup_20160521_x4_horiz

3月に衝を迎え、すでに西に傾いた木星です。
この日は残念ながら大赤斑を見ることはできませんでした。真ん中の右寄りに見えている白い点は、エウロパです。
明るくて影が見えないのは、すでに地球の公転が木星を追い越してしまっているためで、衛星の影は右のほうに落ちます。

惑星の処理はよくわからないことがまだまだ多いのですが、今回は何枚も撮影したので、1分ずつ4回撮影した動画をスタックしたあとに4枚をコンポジットしてみました。

木星だと自転が早いので、WinJUPOSとかで調整をする必要があるみたいですが、5分くらいのことだし、まあそのあたりは目をつぶって・・

こんな流れで処理をしております。

①FireCapture 2.5で動画、RAW撮影

②AutoStakkert2でスタック

③Registax6でWavelet処理

④ステライメージで画像復元・コンポジット

⑤PhotoShopCS6でコントラスト・彩度・フィルター<AstraImage64>

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Jupiter,2016/5/21 21:45:00(JST)
EdgeHD800<f=2023mm F=10> x Tele vue Powermates 2.5x,ZWO ASI224 Cooled ,Vixen SXD2
ROI=640x480 ,FPS (avg.)=75,Shutter=12.90ms,Gain=330,WRed=52,WBlue=95,Gamma=30
Duration 61sec , 2500 Frames Stacked(60%) x 4



【火星/Mars】

Mars_20160521_x4

こちらは、衝を迎えた火星です。5/31には地球に最接近します。
随分と大きくなり、望遠鏡でのぞくと南の極冠がキラキラと輝いて見えました。
それにしても明るいです。木星を撮影するときよりもさらに短いシャッタスピードで、1分ほどとると8000近いフレームが保存されます。

地表の色の違いもわかり、流石に中接近の迫力です。2年前よりはよく見えていたのかなと思います。2年前には見えていた大シルチスやサバ人の湾は沈み、ちょうど子午線が左端となります。

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Mars,2016/5/21 23:09:00(JST)
EdgeHD800<f=2023mm F=10> x Tele vue Powermates 2.5x,ZWO ASI224 Cooled ,Vixen SXD2
ROI=640x480 ,FPS (avg.)=127,Shutter=4.45ms,Gain=310,WRed=52,WBlue=95,Gamma=30
Duration 60sec , 5000 Frames Stacked(70%) x 4

【土星/Saturn】

Sat_20160521_x7_horizon

見た目は火星・木星に比べると暗く地味な感じです。
撮影のシャッタースピードは、火星の時の10倍くらいの長さが必要でした。

ただ、撮影するとどうしてどうして。。
やはりこの輪がトレードマークとなって、かっこいい惑星ですね。

随分と輪が開いています。カッシーニの隙間も観望でも見ることができました。
輪の傾きは2017年が最大となるとのことです。

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Satern,2016/5/21 23:30:00(JST)
EdgeHD800<f=2023mm F=10> x Tele vue Powermates 2.5x,ZWO ASI224 Cooled ,Vixen SXD2
ROI=640x480 ,FPS (avg.)=13,Shutter=72.25ms,Gain=340,WRed=52,WBlue=95,Gamma=50
Duration 180sec , 1500 Frames Stacked(70%) x 7

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2016年5月 7日 (土)

春の銀河とカメラ考察(デジカメ? CCD? フルサイズ? APSC?)

さて、春の銀河もそろそろ撮りおさめ・・ということもあり、なかなか安定はしてくれないながらもようやく撮影ができるレベルに落ち着いたEM200にEdgeHD800をのせて、様々なDeepSkyObjectsを撮影しました。

対象はメシエ天体中心ですが、サイズもまちまちですし、現地の条件(天候や風)もまちまちということもあり、果たしてDSOにはどのタイプのカメラが向くのか??について、少し考察したいと思います。 

1.撮影のしやすさ <デジカメ:A、冷却CCD:B>
 当たり前ですが、デジカメの方はピントを合わせればあとは、ガイドエラーでも頻発しなければそのまま放置ができます。(気温の変化でピンをとチェックする必要はありますが)

特に南の方にある対象ですと、撮影時間が限られてしまうので撮影しやすいデジカメでとる方法がお勧めです。
  冷却CCDの場合、EdgeHD800はLRGBで微妙にピントの位置が異なる(特にRとかBとか)ため、フィルターを変えるたびにピントをチェックする 必要があります。ピントゲージとかはつけていないので、チェックを怠ると、かえってB画像を見て星がぼよよーんなんてことが過去にありました。

 ただしピント合わせだけは、明るい星であわせるのが必須となるデジカメに対し、冷却CCDですと、撮影用のアプリで暗い星でもピント合わせが可能なので、画角を触ることなくピントチェックがしやすいです。

2.天候への順応性<デジカメ:A、冷却CCD:C>
 これはデジカメの圧勝でしょう。冷却CCDの場合、快晴を疑わず計画をして撮影していると、途中で雲の襲撃を受けて結局B画像が取れない・・なんてことがこれまでにもありました。その対策として、まずはLを4枚、そのあとRBGを2枚ずつ回してから、Lを追加するといったスタイルで撮影をしていますが、フィルターを回すたびに時間がかかるのでできればまとめてとりたいところですね。

3.撮影中の対応<デジカメ:A、冷却CCD:C>
 撮影中にチェックすることといえば、
  ・ピントはずれていないか?
  ・ガイドエラーは起きていないか?
 などですが、天候への順応でも書いている通り、冷却CCDの場合はフィルターを変えるごとのピントチェックが必要で、撮影中もかなりばたばたします。ε130とかだとこれは不要なのですが、EdgeHD800みたいに鏡筒によってはピント調整の時間に追われる場合があります。
 あと撮影時間はデジカメの方が短時間、少ない枚数でそれなりに写ってくれます。風が強い夜やシーイングが悪い時など短時間露光する場合はむいています。

4.ライトフレームの質<デジカメ:B~C、冷却CCD:A>

 これはちゃんとピントが合っていれば、間違いなく冷却CCDに軍配が上がります。
 銀河の暗黒帯とかの描写は、冷却CCDならでは・・というものも多いです。
 撮像素子をフルに活用しているわけですから、詳細な画像を得ることができます。
  デジカメでも、私が持っているEOS KissX4と、EOS 6Dでは、画素数の違いからも6Dの方が綺麗に写ります。デジカメでもフルサイズの上位機種なら鮮明な画像が得られると思います。ただし対象が小さい場合は、APSCを使ったほうが大きく写るというメリットがあります。また、色情報はデジカメの方が多彩ですから、銀河の空間の色表現とかは得意かもしれませんね。

5.画像処理による化け具合(お化粧のノリ)<デジカメ:B、冷却CCD:A>
 デジカメで無理して感度を上げて撮影したライトフレームはやはりノイジーですし、画像処理でもなかなかごまかしがきかなくなります。デジカメのrawデータは14bitで、冷却CCDは16bitとなりこの階調差は埋められるはずもありません。
 お化粧化けしやすいのが、冷却CCDでの画像であり、サクッと処理できてしまう(薄化粧でいくべき)なのがデジカメの画像でしょう。

厚化粧(汗)したからと言って必ずしもいい結果が出るとは限りません。シーイングの悪い画像をいくら16bitで撮影しても銀河の暗黒帯は見えないでしょうから。

最近マイブームなのが、DeepSkyStackerでのDrizzle処理です。Drizzle処理は他のソフトでも可能ですが、フリーソフトでできるというのが魅力です。

 5つの視点で比較をしましたが、これを平均して評価をしても意味がなくて、いい結果を得るがために苦行のような冷却CCDを使うというのが、DSOを極めるためには必要なのでしょうね。(汗) そのために冷却CCDを購入したわけですね。

天文誌に入選できるようなすごい銀河を撮るなら、冷却CCDが必須となるのでしょうね。

 ただできるなら銀河は星の数ほどあるのだから、短時間でできる限り多くの対象をうまくとりたい。というニーズには、解像度の高いデジカメで、大量の枚数を撮影し、DeepSkyStackerとかでDrizzle処理をすればいいのでは?というのが私の結論です。
特に大き目の銀河ということであれば、ε130やFSQ85の直 焦点<F=3.3 f=430mm、F=5.3 f=450mm >をつかって、短時間で何十枚も撮影する・・という方法でとった作品もDSSのDrizzlex2とかでスタックすると、かなりシャープに出来上がることがあるようです。特にこのM83はお気に入りの1枚です。



ということでどうでもいい当たり前の説明を書き綴りましたが、私の撮影パターンに当てはめた4つのケースを紹介します。


ケース1:快晴・無風が望める最高の条件で、おとめ座やかみのけ座の銀河をガッツリ取りたい。(M64、M100、M51など1晩1対象)
  ↓
Optics:EdgeHD800
Camera:QHY9 L 300sec ×16枚~ RGB 300sec ×2~3枚ずつ(2x2もあり)

ケース2:雲行きが怪しいが、シーイングがよさそうなので大き目の明るい銀河をサクッと狙いたい(M106やM81、M63など)
  ↓
Optics:EdgeHD800
Camera:Canon EOS 6D ISO4000 120sec ×32枚~

ケース3:あまり時間をかけることができないが、小さ目の銀河も撮ってみたい。(M58、M82、M90、M109など)
  ↓
Optics:EdgeHD800
Camera:Canon EOS KissX4 ISO3200 300sec ×16枚~32枚

ケース4:南の低空に出てくる銀河や球状星団を狙いたい。(M83、M9、M19、M80など)
風があって長時間露光は無理な場合など。

  ↓
Optics:ε130またはFSQ85
Camera:Canon EOS KissX4 ISO3200 90~120sec ×32~48枚 (球状星団は8枚~)

ということで、それぞれのケースで撮影した対象を紹介します。


ケース1:快晴・無風が望める最高の条件で、おとめ座やかみのけ座の銀河をガッツリ取りたい。

【M64 / Black eye Galaxy】

M64_20160312c

春の銀河の中でも大好きな銀河です。
今回は中心部の模様も少し表現することができました。

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撮影データ

Title:M64 / Black eye Galaxy
Optics:EDGE HD 800 (f=2023mm/F=10)
Camera:QHY9,Astrodon Tru-Balance
Exposure: L:360secx11(1x1),RG:300secx5 B:300secx6(2x2)
Date:2016/3/11 @Konoyama



ケース2:雲行きが怪しいが、シーイングがよさそうなので大き目の明るい銀河をサクッと狙いたい

【M106】

M106_edge2000_6d

大きな銀河ですが、周りのハロ?部分は淡くてなかなか見えてきませんね。
この部分は暗いところで撮影しないと厳しいかもです。
6Dで撮影しましたが、銀河の明るい部分の詳細が見えてきています。

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撮影データ

Title:M106
Optics:EDGE HD 800 (f=2023mm/F=10)
Camera:Canon EOS 6D ISO4000
Exposure: 240sec x40
Date:2016/4/30@Konoyama


ケース3:あまり時間をかけることができないが、小さ目の銀河も撮ってみたい。

【M109】

M109_20160428

以前御杖で撮影した時は、CCDを使ったのですが、シーイング悪・ガイド微妙で腕の部分が肥大化していました。
今回は安定の神野山で撮影してみました。何だかんだで3時間撮影ですね。。

撮影データ
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Title:M109
Optics:EDGE HD 800 (f=2023mm/F=10)
Camera:Canon Kiss X4 ISO3200
Exposure: 300sec x36
Date:2016/4/29@Konoyama



ケース4:南の低空に出てくる銀河や球状星団を狙いたい。

【M5】

M5

以前FSQで撮影した対象ですが、、
さすがεですね。星がシャープに写ってくれます。

---
撮影データ

Title:M109
Optics:EDGE HD 800 (f=2023mm/F=10)
Camera:Canon Kiss X4 ISO3200
Exposure: 300sec x36
Date:2016/4/29@Konoyama


おまけ・・・

途中で曇られたので、冷却CCDでL画像、デジカメでRGBを撮影
カラーアシストというとちょっと違いますが、こんなパターンもありかと。。

【M51】

M51_lx6_dslr

子持ち銀河です。
先日すさみで見た対象です。とても大きく明るく、皆さんも撮影されている対象でしょう。

CCDで撮影していましたが、天候不順でL画像のみとなっておりそのまま置いておこうかと
思っていました。

GWにデジカメでRGB画像を撮り足し(ガイドは最悪でしたが)、LRGB合成をしたのかがこちらです。

合計露出時間は、70分ということで、良く写ってくれた放火と思います。


撮影データ

---

Title:M51 / Whirlpool Galaxy
Optics:EDGE HD 800 (f=2023mm/F=10)

Camera:QHY9
Filter:Astrodon Tru-Balance
Exposure: L:300sec x6
Date:2016/3/11@Konoyama

Camera:Canon Kiss X4 ISO3200
Exposure: 300sec x8
Date:2016/4/29@Konoyama

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2016年5月 6日 (金)

The Messier Objects

このブログでもご報告をしておりましたとおり、去年の5月から本格的に取り組んでいたメシエ天体撮影マラソンを今年の3月に110対象を撮り終えました。

それを記念?して、110天体を1つにまとめた作品を天文ガイドさんに応募したら、

なんと・・

「今月の最優秀賞」

をいただくことができました。

いやぁ。そもそもこんな110枚を連ねた作品なんて応募していいものか・・と悩んだのですが、娘の「応募しないの?」の一声がきっかけとなりこのような栄えある賞をいただくこととなりとても驚いております。

単体の対象では、皆様のレベルがとても高くて入選なんて夢のまた夢みたいな感じですが、たくさんの作品を撮り続けたことがよかったのでしょうか。

今月発売の6月号に手記も載せていただきましたのでもしよければご覧くださいませ。

ひとまとめにした作品はこちらです。(大きな画像はこちらへ)

【The Messier Objects】

M110_b


いつもご一緒する皆様や、こちらのブログをご覧いただいている皆様、Facebookのデジタル天体写真グループの皆様、そして家族に感謝です。。

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