EM200 Temma2M、QHY 5L-II、PHDguiding2でのオートガイド
11月のEM200 Temma2M導入以来、試行錯誤してきたオートガイド環境ですが、ようやく何とかやり方が見えてきました。
ここに失敗した原因を備忘録として記述します。自分自身のメモとして記述しますが、もしご覧いただけた方にとっても何らかの役立つ情報があればいいかな・・と思います。
ちなみに、PHDGuidingのHPでは、非常に参考になる基本的なチュートリアルが公開されていて、これを読むとトラブルシュートに非常に役立ちます。ここに書かれている内容なんかも参考にしながら、試行錯誤をしてきました。
【オートガイドの注意点とガイドエラーの原因と対策】
1.ガイドカメラの接続ケーブル不良
キャリブレーションをしているときにRA方向のみで、DEC方向に全く動かないという事象がありました。
この原因としてよくあるのが、赤経(DEC)ガイドモードをOffにしてしまって、RAのみのガイドをしているケースのようです。
通常は、デフォルトではAutoが選択されていますので設定を触らない限り問題はありませんし、実際私のエラーもこれが原因ではありませんでした。
エラーの原因は、ガイドカメラの接続ケーブル不良でした。
別のケーブルを使うと問題なく作動したので、いつもお世話になっているKYOEI大阪さんで交換をしてもらいました。
この手のトラブルはPHDguiding2の手動ガイドで東西南北の方向に動くかどうかをみたり、USBケーブル不要は予備のケーブルを使えばすぐに確認できます。
購入したてのケーブルと安心していたのも悪かったのですが、切り分けテストは基本ですね。
2.PHDguiding2の設定 ~カメラとマウントの選択は何がベスト?
PHDを起動して最初に出てくる画面で、カメラやマウントを選択するものがあります。
最初はPHDGuiding2では、
カメラ:QHY 5L-II Mono
マウント:On Camera
といったパターンや
カメラ:QHY 5L-II Mono
マウント:ASCOM Camera
というパターンでオートガイドを試してきましたが、マウントでOnCameraを選択するとQHY 5L-IIはコントロールがうまくいかない・・といった事象があるようです。
この場合は、マウントを ASCOMにしましょう~というのが、購入したガイドカメラの取扱説明書での対応策です。
そしてこのほうが確かに安定するようで、2つめのパターンでガイドを行うことにしていました。
ところが、新たな問題が・・・
3.PHDguidingとステラナビゲータのコンフリクト
EM200とTemma2Mとしたことで、VixenのようにStarBook10とアドバンスドユニットは使えません。
したがって、オートガイドと自動導入の機能をパソコンで制御することが必要となります。
自動導入は、すでに使っていたステラナビゲータを使用します。
しかし、この2つのソフトをASCOMで制御することで、今度はオートガイドや自動導入がうまくいかなくなる事象が・・
アストロアーツのHPには既にこの事象のこととその対策が書かれています。ASCOM POTHを使うか、ASCOM temma driverを使えとのことです。
う~ん。確かに同じくタカハシの赤道儀を使っていらっしゃるMarkunさんは、ステラナビによる自動導入はうまくいかない・・とのことで、手動で対象を導入されていらっしゃるのですが、私みたいにメシエ天体撮影マラソン・・とか1晩に何対象も撮影する場合は、手動導入は厳しいのでなんとか自動導入をうまく作動させる必要がありました。
4.ASCOM Temma driverの使用
所属するFacebookの「デジタル天体写真」グループの方々に相談したところ、私と同じ環境(EM200 Temma 2M/QHY 5L-II)を使っている方から、ASCOM Temma driverを使ったら・・というアドバイスをいただきました。
やはり先人の教えを乞うというのは、問題解決までの時間が早まります。
皆さんご存知のことを惜しげもなく公開&説明いただき、本当に感謝です。
このアプリはfreeですが、英語版のみなのでよくわからないままインストールしました。
同じサイトに、丁寧な説明書があります。
かつ、日本語のブログにも解説してくださっているところもあって(ascom temma driverとかで検索すると出てきます。)、そちらを拝見すると何とか使えそうです。
PHDGuiding2の選択はこんな感じです。
赤丸がついているところをクリックすると設定画面が表示されます。
このDriverの便利なところは、PHDguiding2のMountとステラナビゲータの望遠鏡で使用することができます。望遠鏡のコントロールはすべてこのTemma Driverで制御できますので、ガイドカメラとTemmaをつなぐ6ピンのケーブルがいらなくなります。
(USBケーブルのみでOK) あのケーブルのアダプタ高かったのですが。。orz...まあこれも勉強代でしょうか。
さて私自身はあまり細かな設定はできていないのですが、使っているのは、
①Powerで12Vを選ぶ
②Mount TypeでTemma2Mを選ぶ
③Serial PortでTemma2Mと接続をする。
④望遠鏡を天頂に向け、Scope OrientationでEast/Westどちら側に望遠鏡があるかを選ぶ
以上です。Scope Saftyとか、Starbookでいうところの、子午線越えの設定にあたるものなのでしょうか・・
まあ子午線を超えてどこまで撮影を続けるかは、手動で対応するのでこのあたりはとくには触っておりません。
接続手順ですが、PHDguiding2(カメラ:QHY 5L-II、マウント:ASCOM Temma Takahashi)→ステライメージ(望遠鏡コントロール:ASCOM Temma Takahashi)としています。
これでなんとかオートガイドと自動導入をコントロールすることができました。
5.極軸あわせの精度向上
極軸合わせ精度の向上といえば、PoleMaster。
PoleMasterといえば、ガイド安定のための機材。。
というぐらいの認知度になっていますね。
こちらはQHY総代理店の天文ハウスTOMITAさんから発売されていますが、確か去年の10月にはいつもご一緒するNOBさんが、海外のリセーラーから購入されて使われてました。
ということで、最近の祭り?ムードに乗っかりさっそく導入をしてしまいました。
初めての極軸追い込み・・は、すでにご活用されていたNOBさん指導のもと、ご一緒した周りの皆さんの注目を浴びる中、実施しました。
他のBlogなのでもこのPoleMasterの使い方などはすでに紹介されていて、動画なんかもアップされていますが、とても使いやすいです。
極軸合わせ自体は、5分くらいでおわりました。そして極軸望遠鏡のみで合わせた天の北極がずれていたことがよくわかりました。(汗)
3月に入ってからPolamasterを使うようになり明らかにガイドが安定したとおもいます。
余談ですが。。ばっちり極軸もあわせ、大きなエラーがあまりないにもかかわらず、突然のガイド大幅エラー。。
なんて事象が生じたのですが、原因は赤道儀のロックがゆるゆる(DEC、RA双方のネジがです)ということがありました。
そりゃあガイド中に重さでちょっとずれる・・なんてことは普通におきますよね。
実際にガイドグラフは安定していても突然暴れることで星の形がいびつになる。。。
ガイドは波を打ちつつもガイドエラーは写真を見る限りあまりわからない。。
といったことが起きていました。
基本中の基本ができないとダメダメと思い知りました(泣)
6.ガイドグラフの乱れ(pixel)とガイドエラーの実態(考察)
現在ガイドカメラは、QHY5L-IIを使っていますが、センサーサイズは1/3inchと小さく、ガイド星のちょっとした揺らぎでもエラー補正がされることから、ガイドグラフが大きく波打つような印象があります。
PHDguiding2からは、カメラのセンサーサイズやガイドスコープの焦点距離を入れると、ガイドエラーの幅をPixelからArcsecに変換して表示してくれる機能があります。
ちゃんと設定をしていないために、実際のガイドエラーの幅がどのくらいであったかがよくわからないのですが、過去に設定していたことからLogを見ると以下の式が成り立つことがわかりました。
センサーサイズ=3.75ミクロンx3.75ミクロン
ガイド鏡焦点距離=325mm
PixelScale 2.38arcsec/Pixel (ガイドエラーのピクセル値)
某サイトにはこんな式がありました
PixelScale= PixcelSize(mm)x206265 /Focal length
ということで、ばっちりあいますね。。
なので、このグラフにあるように
RA平均 0.36 pixel
dec平均 0.38 pixel
Total 0.55 pixel
であれば、
RA平均 0.85 arc sec
dec平均 0.90 arc sec
Total 1.39 arc sec
ということになります。2000mmで撮影するのにどのくらいが許容範囲なのか?
よくわかりません。ただDec方向はなんでこんなに波打つのかなぁと思います。
シーイングが影響して無駄な補正をしているような印象を受けました。
ちなみに、SXD2で使用しているWatecの910Hxは、
繊細サイズ= 8.4ミクロン(H)×9.8ミクロン(V)
とあり、数式によると
PixelScale=0.009 x 206265 / 325 =5,712
となります。
つまり0.3Pixelのズレであっても、秒角は1.71arcsecとなり、かなりずれてしまうことがわかります。
PHDGuiding1のグラフでは、縦軸はPixelになっていると思いますので、焦点距離やガイドカメラのセンサーによって、そのずれがどのくらいの影響があるのかを試算してみる必要がありますね。
6つ目は非常に長くなりましたが・・・
結論 小さなセンサーのガイドカメラでオートガイドするときは、シーイングなどの影響を受けやすいことに加えて、pixelでみたズレは大きくなることから、
「ガイドグラフに一喜一憂しない!」それより、ちゃんと赤道儀はセットアップ、クランプが締めてありますか? が大事!です。
最後におまけですが・・・
なぜか突発的なガイドエラーが起きるのは、パソコンを動かしたとき(望遠鏡につないであるケーブル自体は動かず、USBハブがちょっと動く?)だったり、
モニターがoffになったあとに、パソコンが再びアクティブにした瞬間だったり・・と
ほんま? というタイミングに起きていました。 因果関係があるとは思えないのですが(笑)。今度検証してみます。
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