大台ケ原遠征 in Nov.2014 Vol.2 FSQ-85ED with RD編
遅ればせながら、大台ケ原遠征の写真を処理したのでアップします。
今回のメイン機材はFSQ-85EDで、QE0.73のReducerをつけて f=328mmで散光星雲を狙います。
秋~冬の星座にはたくさんの散光星雲がありますので、何を撮るか考えてこの画角でちょうど収まるサイズの対象をいくつかピックアップしました。
19時を過ぎての撮影ですが、南中前の天体は避け、最初に狙ったのはケフェウス座のIC1396です。
南中を過ぎて少し西に傾き始めています。皆さんご存知の通りガーネットスターがある散光星雲です。
このIC1396はかなり広い領域にわたっていて、ご近所にある北ペリをあわせたくらいの視直径は170'(分)くらいあるようですね。画角ギリギリなんとか入ってくれました。(もう少し右側も入れたかったですが)
【IC1396 Herschel's Garnet Star /Elephant Trunk Nebula】
Title:Herschel's Garnet Star /IC1396
Camera:KissX4 Modified,
Opt:FSQ-85ED x QE0.73<f=327mm/F=3.8>
Mount:Vixen SXD2 auto guided by advanced unit
Filter:HEUIB-II <FF> ,
Exposure:240sec*19 , ISO3200
Date:23/11/2014 @Odaigahara
Processing:RAP2,StellaImage7,PhotoShopCS6
暗黒帯のうねうねがあって面白い領域です。そして少し小さいですが右側の真ん中あたりにはElephant Trunk(象の鼻)とよばれる分子雲(vdB142)があります。
もっと長距離で狙わないととらえられない小さな対象ですね。象の鼻?といわれてもピンときません。なんとなく鼻水が滴っている感じですが(爆)
画像処理としては、ちょっと全体にRを出しすぎて立体感がなくなってしまってますね。
まあ派手目のIC1396ということでこの位の処理でいいかなぁと。ただ情報量が多すぎて、ココログのアップロード制限1MByte以下にするのが大変でした。
さて、このガーネットスターを調べてみるとすごい?星だということがわかりました。
赤色超巨星、変光星(3.6等星~5.1等星)、距離5260光年、表面温度2000度、直径は太陽の1500倍で、ベテルギウスよりも大きいです。
写真だと赤というよりはオレンジ色にみえますね。ザクロ石よりももっと明るい感じの色です。
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2つ目はおおいぬ座にあるわし星雲です。
南中高度は45度と低く、神野山や猪名川など南の低空が被ってしまうエリアでは狙うことがむつかしい対象です。大台ケ原で是非とってみたかったのでじっくり狙いました。
【IC2177 Seagull Nebula / わし星雲】
Title:Seagull nebula /IC2177
Camera:KissX4 Modified,
Opt:FSQ-85ED x QE0.73<f=328mm/F=3.8>
Mount:Vixen SXD2 auto guided by advanced unit
Filter:HEUIB-II <FF> ,
Exposure:180sec*32 , ISO3200
Date:23/11/2014 @Odaigahara
Processing:RAP2,StellaImage7,PhotoShopCS6
総露出時間は96分となりました。私の中ではかなり時間をかけたほうです。(汗)
この領域は赤一辺倒ではなく、これほど色豊かな領域なんですね。
385mmだとちょうどいいサイズに収まります。
この写真はお気に入りの一つになりそうです。
いろいろな散光星雲が点在しているエリアなんですね。こんなものを作ってみました。
【Sh2-292/Sh2-293/Sh2-295/Sh2-296/NGC2117/NGC2327/NGC2335/NGC2343】
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3つ目は冬の定番?バラ星雲です。
こちらは西に傾きながら薄明を迎えるまでの撮影となりましたが、強風と架台がバランスを崩した状態で撮影をしていたこともありガイドがずれてます。ライトフレームの後半は強風のため没となりました。ちょっと残念な結果となりましたが、流石にこれまで取った中でもっともよく写ってくれました。
【Rosette Nebula ,NGC2237 / バラ星雲】
Title:Rosette Nebula /NGC2237
Camera:KissX4 Modified,
Opt:FSQ-85ED x QE0.73<f=328mm/F=3.8>
Mount:Vixen SXD2 auto guided by advanced unit
Filter:HEUIB-II <FF> ,
Exposure:180sec*25 , ISO3200
Date:23/11/2014 @Odaigahara
Processing:RAP2,StellaImage7,PhotoShopCS6
この領域はどのように処理すればいいかよくわからないです。むつかしいですね。
薔薇というより髑髏に見えてしまいます。
とても明るく光害地でもよく写ってくれる対象ですが、奥深いですね。
今回は長文となりました。お付き合いありがとうございます。
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コメント
赤もの3対象いいですね!
IC1396 はいままで私も1度しか撮ったことが無く、いつも撮れずじまいな対象なんです。
BabyQ+RD+APSCでもはみ出るほど広がりのある対象なんですね。
かもめさんはいつもの神野山では木に邪魔されて撮れない対象ですよね。
hαな領域に青色の淡い星雲が入り乱れ綺麗ですね!
やはり暗い場所で光害カットフィルターなしで撮れる環境で撮れる星空は最高です。
今期はもう大台ヶ原は冬季閉鎖で行けませんので、別の場所の開拓が必要ですね~。
手頃な距離で暗い場所、ないですかね~^-^;;
投稿: たらちゃん | 2014年11月30日 (日) 18時17分
たらちゃん
コメントありがとうございます。
IC1396は、フルサイズだとRDなしでいい画角になりそうですね。
本当に大台ケ原の空は感動でした。GWまで欠乏症になりそうです。。。
冬場のおすすめ是非ご紹介ください~。
投稿: くろ | 2014年11月30日 (日) 20時07分
はじめてコメントいたします。
先月、朽木ではお世話になりました。
わし星雲すごくきれいですね。私も今庄で撮影したことがありますが、くろさんの様にきれいに仕上がりませんでした。大台ケ原の空の暗さとくろさんの上手な画像処理の成果なんでしょうね。
滋賀北部はこれから雪の多い季節になります。冬季は奈良方面に遠征しますので、よろしくお願いいたします。
投稿: shin | 2014年11月30日 (日) 23時46分
shinさん
コメントありがとうございます。
ご紹介いただいた朽木の空もよかったのです。
ただ南の空を撮るにはやはり京都や大阪より南にいかないと厳しいですね。
冬季はどこに行くか今から思案中です。遠すぎず暖かくて晴れていて暗いところがあればいいのですが・・
投稿: くろ | 2014年12月 1日 (月) 00時26分
大台撮影分素晴らしいですね。
私もわし星雲は撮りましが、はみ出てしまいました。
くろさんのわし星雲は色合いも美しく素晴らしいですね。
冬場の観測地、良い場所があれば良いですね。
方向的には曽爾高原くらいですね。
それでも自宅から1時間50分くらいかかります。
また、宜しくお願いしますね。
投稿: 天文中年 | 2014年12月 1日 (月) 06時48分
こんばんは、くろさん、
バラ星雲や鷲星雲、ガーネットスターの星雲を見ると
EM200を手放さなければ良かったと、後悔の念に
囚われてしまいます。
でも、EM200が無ければ、ズッと欲しかった大判カメラ
が買えませんでした。
そもそもそのカメラが製造販売中止になるから、EM200
を手放さざるを得ませんでした。
投稿: 山本 | 2014年12月 1日 (月) 19時27分
天文中年さん
コメントありがとうございます。
確かに106だとちょっと画角が大きい分、わし星雲は入らなくなりそうですね。
バラ星雲とかは迫力が増しそうですし、画像がシャープで明るいのでうらやましいですが。。。
Googleくんで調べてみたら、神野山だとうちから1時間30分(渋滞なし)、曽爾高原は1時間55分、みつえ牧場は2時間なので、曽爾高原は神野山と同じくらい?の感覚で行けそうですね。<神野山も決して近くはない?>
現地はどんな感じなんでしょうね。
投稿: くろ | 2014年12月 1日 (月) 22時21分
山本さん
コメントありがとうございます。
EM-200は素晴らしい赤道儀ですが、300mm前後の中距離の焦点ならもう少しコンパクトな赤道儀でも撮影ができると思います。(知人はGPD2とかでも同じ対象を狙っていますので)
この趣味はお金がかかりますね。。
私も欲しい機材はたくさんありますが、なかなか・・。
投稿: くろ | 2014年12月 1日 (月) 23時06分
裏・デジ天の自己紹介から辿ってきた、ただよしです。どうぞよろしくお願いします。
透明感がある透き通った仕上がりがとても美しいと思いました。強調処理の止めどころの判断が素晴らしいですね。
私はどこで止めたらいいのかが分からず、やり過ぎてしまいます。
自然な仕上がりの作品を沢山観て、目を養いたいと思います。
投稿: ただよし | 2014年12月 7日 (日) 11時25分
こんばんは。
お世辞抜きに3作品ともとても素敵ですね。
高感度で短時間を可能にしてコマ数を稼いで滑らかに仕上げる。
望遠鏡や撮影地の優位性もあるでしょうが、
本当に素敵に仕上げられていると思います。
時代が冷却CCDに傾きつつあるなか、
イチデジでこのクオリティは
同じイチデジで粘る私を含め人たちを
勇気付けてくれると思います。
投稿: ryojin | 2014年12月 7日 (日) 20時33分
ただよしさん
ご訪問いただきありがとうございます。
無計画ブログはひそかに?ROMさせていただいておりました。たくさんの素晴らしい作品があって楽しませていただいています。
どうぞよろしくお願いします。
投稿: くろ | 2014年12月 8日 (月) 00時34分
ryojinさん
とても余りあるコメントをいただき恐縮です。。
天体写真を初めていろいろな写真をとってきましたが、FSQでとった時と大台ケ原の空を見た時の衝撃が一番大きかったです。
同じ対象を同じように撮影していても、
全然違うものになるようですね。
露出時間が短いのは、明るい光学系で光害カットフィルターを入れていないため、白トビをさけるため短めの時間にしているのもありますが、あまり長くなるとガイドが流れる危険もあるということもあります。
まだまだ奥深い世界なので楽しんでいければいいなぁと思っています。
投稿: くろ | 2014年12月 8日 (月) 00時44分